福福島競馬場
JRAによるコース紹介
コース紹介
コースの起伏という観点から眺めたとき、福島競馬場は数あるローカル競馬場の中でもかなり特徴的な競馬場といえる。芝コースの高低差は1.9m(ダートコースは2.1m)。これは日本一の高低差を誇る中山競馬場(5.3m)はもちろん、函館・中京競馬場の高低差(3.5m)にも及ばない数字だが、“起伏のつけられ方”が独特なのだ。
Aコース使用時の全長が1600m。JRA全競馬場の中で1周距離がもっとも短い芝コースを例にとると、ゴール板から1コーナーにかけてなだらかな下り勾配(高低差1.7m)が続き、向正面には一転、1.3mの上り勾配が設けられている。その後はしばらく平坦部分が続くものの、4コーナーから直線にかけて再び緩やかな下り勾配が待っており、最後は高低差1.2mの上り勾配を駆け上がってゴールに至る。「坂」と呼ぶほどではないゴール前の上りをはじめ、高低差や勾配自体は決してキツくないが、コースを1周する間にアップダウンを2回繰り返す(ちなみにダートコースの起伏構成も芝コースとほぼ同じ)わけだから、一般的に抱かれているイメージよりも遥かに起伏に富んだ競馬場なのである。
そんな起伏構成のなかでも特に注目すべきは、4コーナーから直線にかけての下り勾配だろう。札幌や函館と異なり、3~4コーナーにスパイラルカーブが導入されている福島では、曲線部分でもスピードが落ちにくい。このスパイラルカーブと、直線にかけて設けられている下り勾配の相乗効果によってスピーディーなレースが楽しめるのだ。292mという芝コースの直線の長さ(Aコース使用時)は、ローカル場としては標準的なものといえるが、スピードを持続したままコーナーを曲がり、その勢いに乗って直線に向く逃げ、先行馬の脚勢が鈍らないため、極端な後方一気はなかなか決まりづらい。馬場状態が良い開幕当初は、特にその傾向が顕著だと頭に入れておきたい。
もっとも、夏の福島開催は、梅雨の季節とまともに重なってしまう。排水性を高めるなど、様々な工夫や改善が重ねられてきた近年の芝コースは、水はけが悪かったひと昔前に比べると、雨の影響を受けにくくなったとはいえ、それでも開催が進むに連れ、いわゆる“外差し”が決まるケースが増えてくる。予想を立てる際には、そんな馬場状態の変化を見逃さず、臨機応変に対応していきたい。
(石田敏徳)(2012年4月時点)
コース解説
芝
1000m
1200m
1700m
1800m
2000m
2600m
ダート
1000m
1150m
1700m
2400m